Nippon Archives 富士山223

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「富士山と和歌」


平安時代、富士山は噴火を繰り返し、活発に活動しました。はげしく火をふく富士山は恐れられる一方、熱い思いの象徴として、国中の人々から尊ばれたといいます。歌人たちもまた、この山に燃える思いを重ねました。『古今和歌集』には富士山を詠んだ歌が5首存在しますが、<君といへば 見まれ見ずまれ 富士の嶺の めづらしげなく 燃ゆるわが恋(恋四巻・詠み人知らず)>など、はげしい愛の歌が詠まれています。ようやく噴火がおさまってからも、和歌の世界では変わらず、噴が立ちのぼる燃える山とされました。僧侶であり歌人の西行法師も、富士山の煙に自らの熱い思いを託した歌を残しています。ひとすじの白い煙に、秘めたる偉大な力を感じ取り、胸の内にあるはげしい感情やくすぶる恋心を重ね合わせる――自然を見つめ、自然とともに生きていた当時の人々には、そんな風流で、豊かな感性がありました。